競売ドキュメント・不動産裁判

めちゃ やさしい 不動産 の 基礎 知識
競売ドキュメント・不動産裁判
めちゃやさしい不動産の基礎知識のトップに戻る 競売ドキュメント・不動産裁判1 まえがき に戻る

競売ドキュメント・不動産裁判 30 不動産裁判を振り返って

スポンサードリンク スポンサードリンク

競売ドキュメント・不動産裁判 30 不動産裁判を振り返って




*この不動産裁判を振り返って


山田は、考えた。この不動産裁判を終えて何が残ったのだろうか。


被告田中は、家賃の滞納を始めた。山田が、この貸家を銀行ローン

で買ったものだということ被告田中はを知っており、家賃を滞納す

ることにより、山田が銀行返済に困窮し、この貸家を買ってくれと

言うまで待とうと企んだ。


山田が動じないのを見て、第2弾を撃ってきた。

被告田中が、山田の貸家にガラクタを置いて鍵をかけ、自分らは姿

をくらまし、中を見たければ裁判所に頼んであけてもらえ、と言い

あくまでも嫌がらせをし続けた。

そして、山田が困惑して、この貸家を買ってくれと言うまで待とう

と企んだ。


山田が前家主から引き継いでいる敷金に見合う額まで家賃を滞納し

山田の貸家にガラクタを置いて鍵をかけ、自分らは姿をくらました。

その実行は、定期賃貸借の賃貸借期限より2か月前であった。

こうすれば、家賃を2か月しか滞納していないことになる。通常は

3か月滞納で解除できるということが言われており、仮に山田が家賃

滞納による賃貸借契約を解除しても、それは貸主の職権乱用であり、

賃貸借契約解除は無効である、と踏んでいた。

家賃滞納当初から緻密な計算をしていた。後ろで教唆する人間がい

たのである。


山田は考えていた。貸家にガラクタを置いて鍵をかけているという

ことは、被告田中が占有していることであり、万一、2か月滞納が

無理でも3か月以上滞納を待てばいいことである。その時点で裁判

すればいい。


ここまで嫌がらせを繰り返す人間も珍しい。これに対抗する強力な

手段はないかと考えていた。

訴訟の本を見ている間に、ヒントがあった。判例である。判例を探

せばいい。そして見つけたのである。




   ***********************

裁判要旨 賃貸借契約が、賃料不払のため適法に解除された以

上、たとえその後、賃借人の相殺の意思表示により右賃料債務が遡

つて消滅しても、解除の効力に影響はなく、このことは、解除の当

時、賃借人において自己が反対債権を有する事実を知らなかつたた

め、相殺の時期を失した場合であつても、異るところはない。

   ***********************






−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      
         最高裁判例


事件番号昭和 30(オ)332
事件名 家屋明渡請求
裁判年月日 昭和32年03月08日
法廷名 最高裁判所第二小法廷
裁判種別 判決
結果 棄却
判例集巻・号・頁 第11巻3号513頁
原審裁判所名 名古屋高等裁判所

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

判示事項 相殺の遡及効が契約解除に及ぼす影響の有無。


裁判要旨 賃貸借契約が、賃料不払のため適法に解除された以

上、たとえその後、賃借人の相殺の意思表示により右賃料債務が遡

つて消滅しても、解除の効力に影響はなく、このことは、解除の当

時、賃借人において自己が反対債権を有する事実を知らなかつたた

め、相殺の時期を失した場合であつても、異るところはない。

参照法条 民法506条,民法541条

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

         全 文

主    文

     本件上告を棄却する。

     上告費用は上告人らの負担とする。
         
理    由

 上告理由第一点について。

 相殺の意思表示は双方の債務が互に相殺をなすに適したる始めに

遡つてその効力を生ずることは、民法五〇六条二項の規定するとこ

ろであるが、この遡及効は相殺の債権債務それ自体に対してであつ

て、相殺の意思表示以前既に有効になされた契約解除の効力には何

らの影響を与えるものではないと解するを相当とする。そしてこの

事は相殺の自働債権者がその債権を有しておることを知らなかつた

ため相殺の時期を失した場合と雖も右の理を異にするものとは解せ

られないから、論旨は到底採用に値しない。

 上告理由第二点について。

 原審の認定した事実関係の下においては、本件被上告人のした解

除権の行使をもつて権利の濫用とは到底解することができない。論

旨は採用し難い。

 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一

致で、主文のとおり判決する。
 
    最高裁判所第二小法廷

       裁判長裁判官  小   谷   勝   重

        裁判官    藤   田   八   郎

        裁判官    河   村   大   助

        裁判官    奥   野   健   一
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−




(参考)




【民法】



(相殺の方法及び効力)

第五百六条  相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示

によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期

限を付することができない。

2  前項の意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するように

なった時にさかのぼってその効力を生ずる。




(履行遅滞等による解除権)

第五百四十一条  当事者の一方がその債務を履行しない場合にお

いて、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間

内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。




【民事訴訟法】


(和解の試み)

第八十九条  裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず、

和解を試み、又は受命裁判官若しくは受託裁判官に和解を試みさせ

ることができる。


(期間の計算)

第九十五条  期間の計算については、民法 の期間に関する規定に

従う。

2  期間を定める裁判において始期を定めなかったときは、期間

は、その裁判が効力を生じた時から進行を始める。

3  期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律 (昭

和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日、一月二日、一月三

日又は十二月二十九日から十二月三十一日までの日に当たるときは、

期間は、その翌日に満了する。




(続く)


 競売ドキュメント・不動産裁判 続きはこちら


   めちゃやさしい不動産の基礎知識のトップに戻る   競売ドキュメント・不動産裁判 ページトップ |LINK |