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競売ドキュメント・不動産裁判 36 【敷金】の法的解釈、最高裁の判例は? 2

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競売ドキュメント・不動産裁判 36 【敷金】の法的解釈、最高裁の判例は? 2




*借主側の重過失火災で家屋焼失、火災保険金を差引きし敷金を返せ・・・だめ



借主側の重大な過失で火災、家屋焼失。借主は損害賠償の責任があ

る。敷金はその損害金賠償金に充当すると家主がもらった。しかし

家主は火災保険金ももらっている。

そこで借主は、損害賠償金から家主がもらった火災保険金を差し引

いた「残りの損害金」を払う。だから敷金から「残りの損害金」を

差し引いた敷金を返せというわけである。

大岡越前守ならぬ最高裁判所は「家主は、自分の金で火災保険料を

払っているんだ。借主が払ってたわけじゃねいだろう。差引計算ま

かりならぬ。この桜吹雪が目に入らぬか。・・・・・」というわけ

である。



最高裁判所は次のように言っています。 ↓



火災保険契約に基づいて被保険者たる家屋所有者に給付される保険

金は、既に払い込んだ保険料の対価たる性質を有し、たまたまその

損害について第三者が所有者に対し不法行為又は債務不履行に基づ

く損害賠償義務を負う場合においても、右損害賠償額の算定に際し、

いわゆる損益相殺として控除されるべき利益にはあたらないと解す

るのが、相当である。



裁判要旨 第三者の不法行為又は債務不履行により家屋が焼

失した場合、その損害につき火災保険契約に基づ
いて家屋所有者に給付される保険金は、右第三者
が負担すべき損害賠償額から損益相殺として控除
されるべき利益にはあたらない。



---------------------------------------------------------
●2


最高裁判例  


事件番号 昭和49(オ)531

事件名 損害賠償、敷金返還請求

裁判年月日 昭和50年01月31日

法廷名 最高裁判所第三小法廷

裁判種別 判決

結果


判例集巻・号・頁 第29巻1号68頁

原審裁判所名 福岡高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日 昭和49年03月27日

判示事項 不法行為又は債務不履行による家屋焼失に基づく

損害賠償額から火災保険金を損益相殺として控除

することの適否

裁判要旨 第三者の不法行為又は債務不履行により家屋が焼

失した場合、その損害につき火災保険契約に基づ
いて家屋所有者に給付される保険金は、右第三者
が負担すべき損害賠償額から損益相殺として控除
されるべき利益にはあたらない。

参照法条 民法415条,民法709条,商法665条

全文 全文


主    文

被上告人の請求中、金四〇四万円及びこれに対する昭和三八年四月

二二日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員の支払を認

容した部分につき、原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。

前項の部分に関する被上告人の請求を棄却する。

上告人のその余の部分に対する上告を棄却する。

訴訟の総費用は第一、二、三審を通じてこれを三分し、その一を被

上告人の、その余を上告人の各負担とする。
         
理    由

 上告代理人佐藤通吉の上告理由第一点について。

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決(その引用する第一審

判決を含む。以下同じ。)挙示の証拠に照らし、正当として是認す

ることができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用するこ

とができない。


 同第二点について。

 家屋焼失による損害につき火災保険契約に基づいて被保険者たる

家屋所有者に給付される保険金は、既に払い込んだ保険料の対価た

る性質を有し、たまたまその損害について第三者が所有者に対し不

法行為又は債務不履行に基づく損害賠償義務を負う場合においても、

右損害賠償額の算定に際し、いわゆる損益相殺として控除されるべ

き利益にはあたらないと解するのが、相当である。ただ、保険金を

支払つた保険者は、商法六六二条所定の保険者の代位の制度により、

その支払つた保険金の限度において被保険者が第三者に対して有す

る損害賠償請求権を取得する結果、被保険者たる所有者は保険者か

ら支払を受けた保険金の限度で第三者に対する損害賠償請求権を失

い、その第三者に対して請求することのできる賠償額が支払われた

保険金の額だけ減少することとなるにすぎない。また、保険金が支

払われるまでに所有者が第三者から損害の賠償を受けた場合に保険

者が支払うべき保険金をこれに応じて減額することができるのは、

保険者の支払う保険金は被保険者が現実に被つた損害の範囲内に限

られるという損害保険特有の原則に基づく結果にほかならない。

 本件において原審の確定するところによれば、被上告人は上告人

からその所有にかかる本件建物を賃借し、敷金六〇〇万円を差し入

れ、右建物においてパチンコ店を経営していたところ、その住込店

員の重大な過失によつて本件建物を焼失し、上告人は右建物の焼失

によつて合計八四六万円の損害を被つたこと、訴外富士火災海上保

険株式会社は、上告人との間で締結した火災保険契約に基づき、保

険金として六五〇万円を上告人に支払つたことが、それぞれ認めら

れる。右事実によれば、被上告人は、上告人に対する本件建物返還

義務の履行不能による損害賠償として、右建物の焼失により上告人

が被つた八四六万円の損害を賠償する義務を負担するに至つたもの

であり、上告人が保険金として受領した六五〇万円を、右損害賠償

額の算定に際し、いわゆる損益相殺として控除すべきものでないこ

とは、前記説示に照らし明らかであつて、本件建物賃貸借が目的物

の滅失によつて終了した結果、敷金六〇〇万円は被上告人の上告人

に対する右損害賠償債務に当然に充当され、損害賠償債務はうち六

〇〇万円が右充当によつて消滅したことになる。したがつて、上告

人の被上告人に対する敷金返還債務は、右のとおり敷金の全額が充

当されたことにより消滅し、既に存在しないにもかかわらず、原審

は、被上告人の上告人に対する損害賠償額の算定にあたつて、上告

人が保険金として受領した六五〇万円をいわゆる損益相殺として控

除した結果、右賠償額は一九六万円であるとし、敷金のうち一九六

万円のみが充当されるとして、上告人は残りの四〇四万円を被上告

人に返還すべき義務があるとしたものであつて、原判決には法令の

解釈適用を誤つた違法があるといわざるをえず、右違法は原判決中

この部分の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、右の部分

につき、原判決は破棄を免れず、さらにこれと同旨の第一審判決は

取消を免れない。この部分に関する被上告人の請求は棄却すべきも

のである。しかし、訴外富士火災海上保険株式会社は、保険金を支

払つたことによつて、右上告人の被上告人に対する損害賠償残債権

二四六万円を取得したこともまた前記説示に照らして明らかである

から、上告人の被上告人に対する損害賠償請求を理由がないとして

排斥した原判決は、その結論において正当であり、右の部分につき、

論旨は結局採用することができず、この部分に対する上告は棄却す

べきものである。

 よつて、民訴法四〇八条一号、三九六条、三八六条、三八四条、

九六条、九二条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判

決する。

     最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官    江 里 口   清   雄
裁判官    関   根   小   郷
裁判官    天   野   武   一
裁判官    坂   本   吉   勝
裁判官       辻   正   己


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(参考)



*【判示】(はんじ)

判決文などの中で、事実の認定や法の解釈について裁判所の判断を

示すこと。




*【信義則(信義誠実の原則のこと。民法第1条2項)】

一般社会において、共同生活をしていく以上、互いに相手の信頼を

裏切らないように誠意をもって行動すべきであるという原則のこと

です。

ある行為が権利の行使か、権利の乱用かは、信義則によって決めら

れるとになります。



*【抗弁】(こうべん)

民事訴訟で、訴訟当事者の一方が、相手方の申し立てや主張を排

斥するために、別個の事実を主張すること。




【民法】

(基本原則)

第一条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなけれ

ばならない。

3  権利の濫用は、これを許さない。





【商法】

第六百六十二条  損害カ第三者ノ行為ニ因リテ生シタル場合ニ於

テ保険者カ被保険者ニ対シ其負担額ヲ支払ヒタルトキハ其支払ヒタ

ル金額ノ限度ニ於テ保険契約者又ハ被保険者カ第三者ニ対シテ有セ

ル権利ヲ取得ス

○2 保険者カ被保険者ニ対シ其負担額ノ一部ヲ支払ヒタルトキハ

保険契約者又ハ被保険者ノ権利ヲ害セサル範囲内ニ於テノミ前項ニ

定メタル権利ヲ行フコトヲ得




*****************************


●●最高裁判所等の【判例】調査方法●●



最高裁判所等の判例検索方法


1.裁判所ホームページ 

    http://www.courts.go.jp/

    裁判所ホームページをクリック。

2.ホームページ右上「裁判例情報」をクリックする。

「判例検索システム>検索条件指定画面」になる。


3.左側 「統合検索」の下の「最高裁判所判例集」をクリック

「最高裁判例 検索画面」になる。


4.その画面の「特定検索」は事件番号等がわかっているときに使

う。


5.わからないときは「詳細画面」を使う。

「民刑区分」の「民事」の箱にチェックを入れる。


6.そのあと、一番下の「全文」の検索窓を使う。

全文の最初の窓に検索語句「○○○○」を入力。

複合語句の場合は、その下に「and」の文字があるが、その下の

窓に「○○○○」を入力する。つまり両方の語句を含むけんさくで

す。


7.一番下の「検索」をクリックする。

何件か検出される。


8.検索された判例の左側の「最高裁判例」をクリック。

判例の内容が表示される。


9.判例の内容の一番下に「全文  PDF全文」という文字があ

る。「PDF全文」をクリックすると、「主文」「理由」のPDF
 
ファイルをダウンロードできる。


*****************************




(続く)

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