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競売ドキュメント・不動産裁判 37 【敷金】の法的解釈、最高裁の判例は? 3

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競売ドキュメント・不動産裁判 37 【敷金】の法的解釈、最高裁の判例は? 3




*敷金返還は、賃借人の建物明渡後でいい。同時履行の関係に立たない。



建物賃貸借における敷金は、賃貸借の終了後家屋明渡義務の履行ま

でに生ずる賃料相当額の損害金債権、その他賃貸借契約により賃貸

人が賃借人に対して取得することのある一切の債権を担保するもの

であり、賃貸人は、賃貸借の終了後家屋の明渡がされた時において

それまでに生じた右被担保債権を控除してなお残額がある場合に、

その残額につき返還義務を負担するものと解すべきものである。

と判決理由の中で述べています。


賃借人は、建物を明け渡したあとで敷金を受け取ることになります。




最高裁判所は次のように言っています。↓



建物賃貸借終了に伴う賃借人の建物明渡と賃貸人の敷金返還とは、

特別の約定のないかぎり、同時履行の関係に立たない。


裁判要旨  家屋の賃貸借終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と  

      賃貸人の敷金返還債務とは、特別の約定のないか  

      ぎり、同時履行の関係に立たない。


----------------------------------------------------
●3

最高裁判例  


事件番号 昭和48(オ)30

事件名     家屋明渡請求

裁判年月日 昭和49年09月02日

法廷名     最高裁判所第一小法廷

裁判種別 判決

結果     棄却

判例集巻・号・頁 第28巻6号1152頁

原審裁判所名 福岡高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日 昭和47年10月18日

判示事項 賃借家屋明渡債務と敷金返還債務との間の同時履

        行関係の有無

裁判要旨 家屋の賃貸借終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と

        賃貸人の敷金返還債務とは、特別の約定のないか

        ぎり、同時履行の関係に立たない。

参照法条 民法533条,民法619条2項

全文 全文

 


主    文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。


         
理    由

 上告代理人今泉三郎の上告理由第一点について。

 所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ

(最高裁昭和二八年(オ)第七五五号同

二九年一月一四日第一小法廷判決・民集八巻一号一六頁、最高裁昭

和二七年(オ)第一〇六九号同二九

年七月二二日第一小法廷判決・民集八巻七号

一四二五頁参照)、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用する

ことができない。

 同第二点について。

 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照

らし是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採

用することができない。

 同第三点について。

 原審は、被上告人が任意競売手続において昭和四五年一〇月一六

日本件家屋を競落し同年一一月二一日競落代金の支払を完了してそ

の所有権を取得し同月二六日その所有権移転登記を経由したこと、

および、上告人が本件家屋の一部を占有していることを認定したう

え、上告人が昭和四四年九月一日本件家屋の前所有者から右占有部

分を、期限を昭和四六年八月三一日までとして、賃借しその引渡を

受けた旨の上告人の主張につき、右賃貸借は同日限り終了している

ものと判断し、かつ、右の賃貸借に際し上告人が前所有者に差し入

れたという敷金の返還請求権をもつてする同時履行および留置権の

主張を排斥して、被上告人の所有権にもとづく本件家屋部分の明渡

請求を認容したものである。

 そこで、期間満了による家屋の賃貸借終了に伴う賃借人の家屋明

渡債務と賃貸人の敷金返還債務が同時履行の関係にあるか否かにつ

いてみるに、賃貸借における敷金は、賃貸借の終了後家屋明渡義務

の履行までに生ずる賃料相当額の損害金債権その他賃貸借契約によ

り賃貸人が賃借人に対して取得することのある一切の債権を担保す

るものであり、賃貸人は、賃貸借の終了後家屋の明渡がされた時に

おいてそれまでに生じた右被担保債権を控除してなお残額がある場

合に、その残額につき返還義務を負担するものと解すべきものであ

る(最高裁昭和四六年(オ)第三五七号同四八年二月二日第二小法

廷判決・民集二七巻一号八〇頁参照)。そして、敷金契約は、この

ようにして賃貸人が賃借人に対して取得することのある債権を担保

するために締結されるものであつて、賃貸借契約に附随するもので

はあるが、賃貸借契約そのものではないから、賃貸借の終了に伴う

賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、一個の双務契

約によつて生じた対価的債務の関係にあるものとすることはできず、

また、両債務の間には著しい価値の差が存しうることからしても、

両債務を相対立させてその間に同時履行の関係を認めることは、必

ずしも公平の原則に合致するものとはいいがたいのである。一般に

家屋の賃貸借関係において、賃借人の保護が要請されるのは本来そ

の利用関係についてであるが、当面の問題は賃貸借終了後の敷金関

係に関することであるから、賃借人保護の要請を強調することは相

当でなく、また、両債務間に同時履行の関係を肯定することは、右

のように家屋の明渡までに賃貸人が取得することのある一切の債権

を担保することを目的とする敷金の性質にも適合するとはいえない

のである。このような観点からすると、賃貸人は、特別の約定のな

いかぎり、賃借人から家屋明渡を受けた後に前記の敷金残額を返還

すれば足りるものと解すべく、したがつて、家屋明渡債務と敷金返

還債務とは同時履行の関係にたつものではないと解するのが相当で

あり、このことは、賃貸借の終了原因が解除(解約)による場合で

あつても異なるところはないと解すべきである。そして、このよう

に賃借人の家屋明渡債務が賃貸人の敷金返還債務に対し先履行の関

係に立つと解すべき場合にあつては、賃借人は賃貸人に対し敷金返

還請求権をもつて家屋につき留置権を取得する余地はないというべ

きである。

 これを本件についてみるに、上告人は右の特約の存在につきなん

ら主張するところがないから、同時履行および留置権の主張を排斥

した原審判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違

法はない。論旨は、採用することができない。

 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一

致の意見で、主文のとおり判決する。

     最高裁判所第一小法廷

     裁判長裁判官    下   田   武   三

        裁判官    大   隅   健 一 郎

        裁判官    藤   林   益   三

        裁判官    岸       盛   一

        裁判官    岸   上   康   夫



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(参考)



*【判示】(はんじ)

判決文などの中で、事実の認定や法の解釈について裁判所の判断を

示すこと。




*【信義則(信義誠実の原則のこと。民法第1条2項)】

一般社会において、共同生活をしていく以上、互いに相手の信頼を

裏切らないように誠意をもって行動すべきであるという原則のこと

です。

ある行為が権利の行使か、権利の乱用かは、信義則によって決めら

れるとになります。



*【抗弁】(こうべん)

民事訴訟で、訴訟当事者の一方が、相手方の申し立てや主張を排

斥するために、別個の事実を主張すること。




【民法】

(基本原則)

第一条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなけれ

ばならない。

3  権利の濫用は、これを許さない。




(同時履行の抗弁)

第五百三十三条  双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務

の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。

ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。



(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)

第六百十七条  当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各

当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合に

おいては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれ

ぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。

一  土地の賃貸借 一年

二  建物の賃貸借 三箇月

三  動産及び貸席の賃貸借 一日

2  収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次

の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。



(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)

第六百十八条  当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、

その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、

前条の規定を準用する。



(賃貸借の更新の推定等)

第六百十九条  賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用

又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議

を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をした

ものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百十七条の

規定により解約の申入れをすることができる。

2  従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、そ

の担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金については、

この限りでない。





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●●最高裁判所等の【判例】調査方法●●



最高裁判所等の判例検索方法


1.裁判所ホームページ 

    http://www.courts.go.jp/

    裁判所ホームページをクリック。

2.ホームページ右上「裁判例情報」をクリックする。

「判例検索システム>検索条件指定画面」になる。


3.左側 「統合検索」の下の「最高裁判所判例集」をクリック

「最高裁判例 検索画面」になる。


4.その画面の「特定検索」は事件番号等がわかっているときに使

う。


5.わからないときは「詳細画面」を使う。

「民刑区分」の「民事」の箱にチェックを入れる。


6.そのあと、一番下の「全文」の検索窓を使う。

全文の最初の窓に検索語句「○○○○」を入力。

複合語句の場合は、その下に「and」の文字があるが、その下の

窓に「○○○○」を入力する。つまり両方の語句を含むけんさくで

す。


7.一番下の「検索」をクリックする。

何件か検出される。


8.検索された判例の左側の「最高裁判例」をクリック。

判例の内容が表示される。


9.判例の内容の一番下に「全文  PDF全文」という文字があ

る。「PDF全文」をクリックすると、「主文」「理由」のPDF
 
ファイルをダウンロードできる。


*****************************



(続く)



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