競売ドキュメント・不動産裁判

めちゃ やさしい 不動産 の 基礎 知識
競売ドキュメント・不動産裁判
めちゃやさしい不動産の基礎知識のトップに戻る 競売ドキュメント・不動産裁判1 まえがき に戻る

競売ドキュメント・不動産裁判 38 【敷金】の法的解釈、最高裁の判例は? 4

スポンサードリンク スポンサードリンク

競売ドキュメント・不動産裁判 38 【敷金】の法的解釈、最高裁の判例は? 4




*敷金返還請求権は、明渡完了時残額がある場合に発生する。

*賃貸借終了後明渡前に所有者が代わった場合、敷金は、新旧

 所有者の合意のみでは承継されない。



1.敷金返還請求権は、家屋明渡完了時、諸費を控除し残額がある

  場合に発生する。

2.賃貸借終了後明渡前に所有者が代わった場合、敷金は、新旧

  所有者の合意のみでは承継されない。

3.明渡前においては、敷金返還請求権を転付命令の対象とするこ

  とはできない。


としている。




*最高裁の裁判要旨は下記のとおりです。 ↓


裁判要旨

一、家屋賃貸借における敷金は、賃貸借終了後家屋明渡義務履行ま

でに生ずる賃料相当額の損害金債権その他賃貸借契約により賃貸人

が賃借人に対して取得する一切の債権を担保するものであり、敷金

返還請求権は、賃貸借終了後家屋明渡完了の時においてそれまでに

生じた右被担保債権を控除しなお残額がある場合に、その残額につ

き具体的に発生するものと解すべきである。


二、家屋の賃貸借終了後明渡前にその所有権が他に移転された場合

には、敷金に関する権利義務の関係は、旧所有者と新所有者との合

意のみによつては、新所有者に承継されない。


三、家屋の賃貸借終了後であつても、その明渡前においては、敷金

返還請求権を転付命令の対象とすることはできない。






----------------------------------------------------
●4



最高裁判例  


事件番号 昭和46(オ)357

事件名     敷金返還請求

裁判年月日 昭和48年02月02日

法廷名    最高裁判所第二小法廷

裁判種別 判決

結果     棄却

判例集巻・号・頁 第27巻1号80頁

原審裁判所名 広島高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日 昭和46年02月05日



判示事項

一、敷金の被担保債権の範囲および敷金返還請求権の発生時期

二、家屋の賃貸借終了後におけるその所有権の移転と敷金の承継の

  成否

三、賃貸借終了後家屋明渡前における敷金返還請求権と転付命令



裁判要旨

一、家屋賃貸借における敷金は、賃貸借終了後家屋明渡義務履行ま

でに生ずる賃料相当額の損害金債権その他賃貸借契約により賃貸人

が賃借人に対して取得する一切の債権を担保するものであり、敷金

返還請求権は、賃貸借終了後家屋明渡完了の時においてそれまでに

生じた右被担保債権を控除しなお残額がある場合に、その残額につ

き具体的に発生するものと解すべきである。


二、家屋の賃貸借終了後明渡前にその所有権が他に移転された場合

には、敷金に関する権利義務の関係は、旧所有者と新所有者との合

意のみによつては、新所有者に承継されない。


三、家屋の賃貸借終了後であつても、その明渡前においては、敷金

返還請求権を転付命令の対象とすることはできない。


参照法条 民法619条,民訴法601条

全文 全文


主    文

     本件上告を棄却する。

     上告費用は上告人の負担とする。

         
理    由

 上告代理人山下勉一の上告理由について。

 原判決の確定したところによれば、訴外Aは、昭和三四年一〇月

三一日、訴外Bから、同人所有の本件家屋二棟を資料一か月八〇〇

〇円、期間三年の約で借り受け、敷金二五万円を同人に交付したが、

右賃貸借契約においては、「右敷金ハ家屋明渡ノ際借主ノ負担二属

スル債務アルトキハ之ニ充当シ、何等負担ナキトキハ明渡ト同時ニ

無利息ニテ返還スルコト」との条項が書面上明記されていたこと、

被上告人は、昭和三五年中、競落により本件各家屋の所有権を取得

して、Aに対する賃貸人の地位を承継し、その結果右敷金をも受け

継いだところ、右賃貸借は昭和三七年一〇月三一日期間満了により

終了し、当時賃料の延滞はなかつたこと、被上告人は、Aから本件

各家屋の明渡義務の履行を受けないまま、同年一二月二六日、これ

を訴外Cに売り渡し、かつ、それと同時に、右賃貸借終了の日の翌

日から右売渡の日までのAに対する明渡義務不履行による損害賠償

債権ならびに過去および将来にわたり生ずべきAに対する右損害賠

償債権の担保としての敷金をCに譲渡し、その頃その旨をAに通知

したが、右譲渡につきAの承諾を得た事実はなかつたこと、その後

CがAに対して提起した訴訟の一、二審判決において、AがCに対

して本件各家屋明渡義務および一か月二万四九四七円の割合による

賃料相当損害金の支払義務を負うことが認められたのち、昭和四〇

年三月三日頃もCとAとの間において、CのAに対する右賃料相当

損害金債権のうちから、本件敷金などを控除し、その余の損害金債

権を放棄する旨の和解が成立し、同年四月三日頃AがCに対し本件

各家屋を明渡したこと、以上の事実が認められるというのであり、

他方、上告人が、Aに対する強制執行として、昭和四〇年一月二七

日、Aの被上告人に対する本件敷金返還請求権につき差押および転

付命令を得、同命令が同月二九日Aおよび被上告人に送達された事

実についても、当事者間に争いがなかつたことが明らかである。


 原判決は、以上の事実関係に基づき、本件賃貸借における敷金は、

賃貸借存続中の賃料債権のみならず、賃貸借契約終了後の家屋明渡

義務不履行に基づく損害賠償債権をも担保するものであり、家屋の

譲渡によつてただちにこのような敷金の担保的効力が奪われるべき

ではないから、賃貸借終了後に賃貸家屋の所有権が譲渡された場合

においても、少なくとも旧所有者と新所有者との間の合意があれば、

貸借人の承諾の有無を問わず、新所有者において敷金を承継するこ

とができるものと解すべきであり、したがつて、被上告人がCに本

件敷金を譲渡したことにより、Cにおいて右敷金の担保的効力とそ

の条件付返還債務とを被上告人から承継し、その後、右敷金は、前

記の一か月二万四九四七円の割合により遅くとも昭和三八年九月末

日までに生じた賃料相当の損害金に当然に充当されて、全部消滅し

たものであつて、上告人はその後に得た差押転付命令によつて敷金

返還請求権を取得するに由ないものというべきであり、なお、右転

付命令はすでに敷金をCに譲渡した後の被上告人を第三債務者とし

た点においても有効たりえない、と判断したので

ある。

 思うに、家屋賃貸借における敷金は、賃貸借存続中の賃料債権の

みならず、賃貸借終了後家屋明渡義務履行までに生ずる賃料相当損

害金の債権その他賃貸借契約により賃貸人が貸借人に対して取得す

ることのあるべき一切の債権を担保し、賃貸借終了後、家屋明渡が

なされた時において、それまでに生じた右の一切の被担保債権を控

除しなお残額があることを条件として、その残額につき敷金返還請

求権が発生するものと解すべきであり、本件賃貸借契約における前

記条項もその趣旨を確認したものと解される。しかしながら、ただ

ちに、原判決の右の見解を是認することはできない。すなわち、敷

金は、右のような賃貸人にとつての担保としての権利と条件付返還

債務とを含むそれ自体一個の契約関係であつて、敷金の譲渡ないし

承継とは、このような契約上の地位の移転にほかならないとともに、

このような敷金に関する法律関係は、賃貸借契約に付随従属するの

であつて、これを離れて独立の意義を有するものではなく、賃貸借

の当事者として、賃貸借契約に関係のない第三者が取得することが

あるかも知れない債権までも敷金によつて担保することを予定して

いると解する余地はないのである。したがつて、賃貸借継続中に賃

貸家屋の所有権が譲渡され、新所有者が賃貸人の地位を承継する場

合には、賃貸借の従たる法律関係である敷金に関する権利義務も、

これに伴い当然に新賃貸人に承継されるが、賃貸借終了後に家屋所

有権が移転し、したがつて、賃貸借契約自体が新所有者に承継され

たものでない場合には、敷金に関する権利義務の関係のみが新所有

者に当然に承継されるものではなく、また、旧所有者と新所有者と

の間の特別の合意によつても、これのみを譲渡することはできない

ものと解するのが相当である。このような場合に、家屋の所有権を

取得し、賃貸借契約を承継しない第三者が、とくに敷金に関する契

約上の地位の譲渡を受け、自己の取得すべき貸借人に対する不法占

有に基づく損害賠償などの債権に敷金を充当することを主張しうる

ためには、賃貸人であつた前所有者との間にその旨の合意をし、か

つ、賃借人に譲渡の事実を通知するだけでは足りず、賃借人の

承諾を得ることを必要とするものといわなければならない。しかる

に、本件においては、被上告人からCへの敷金の譲渡につき、上告

人の差押前にAが承諾を与えた事実は認定されていないのであるか

ら、被上告人およびCは、右譲渡が有効になされ敷金に関する権利

義務がCに移転した旨、およびCの取得した損害賠償債権に敷金が

充当された旨を、Aおよび上告人に対して主張することはできない

ものと解すべきである。したがつて、これと異なる趣旨の原判決の

前記判断は違法であつて、この点を非難する論旨は、その限度にお

いて理由がある。


 しかし、さらに検討するに、前述のとおり、敷金は、賃貸借終了

後家屋明渡までの損害金等の債権をも担保し、その返還請求権は、

明渡の時に、右債権をも含めた賃貸人としての一切の債権を控除し、

なお残額があることを条件として、その残額につき発生するものと

解されるのであるから、賃貸借終了後であつても明渡前においては、

敷金返還請求権は、その発生および金額の不確定な権利であつて、

券面額のある債権にあたらず、転付命令の対象となる適格のないも

のと解するのが相当である。そして、本件のように、明渡前に賃貸

人が目的家屋の所有権を他へ譲渡した場合でも、貸借人は、賃貸借

終了により賃貸人に家屋を返還すべき契約上の債務を負い、占有を

継続するかぎり右債務につき遅滞の責を免れないのであり、賃貸

人において、貸借人の右債務の不履行により受くべき損害の賠償請

求権をも敷金によつて担保しうべきものであるから、このような場

合においても、家屋明渡前には、敷金返還請求権は未確定な債権と

いうべきである。したがつて、上告人が本件転付命令を得た当時A

がいまだ本件各家屋の明渡を了していなかつた本件においては、本

件敷金返還請求権に対する右転付命令は無効であり、上告人は、こ

れにより右請求権を取得しえなかつたものと解すべきであつて、原

判決中これと同趣旨の部分は、正当として是認することができる。

 したがつて、本件敷金の支払を求める上告人の請求を排斥した原

判決は、結局相当であつて、本件上告は棄却を免れない。

 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の

一致で、主文のとおり判決する。

     最高裁判所第二小法廷

      裁判長裁判官    色   川   幸 太 郎

          裁判官    村   上   朝   一

          裁判官    岡   原   昌   男

          裁判官    小   川   信   雄



---------------------------------------------------------




(参考)



*【判示】(はんじ)

判決文などの中で、事実の認定や法の解釈について裁判所の判断を

示すこと。




*【信義則(信義誠実の原則のこと。民法第1条2項)】

一般社会において、共同生活をしていく以上、互いに相手の信頼を

裏切らないように誠意をもって行動すべきであるという原則のこと

です。

ある行為が権利の行使か、権利の乱用かは、信義則によって決めら

れるとになります。



*【抗弁】(こうべん)

民事訴訟で、訴訟当事者の一方が、相手方の申し立てや主張を排

斥するために、別個の事実を主張すること。




【民法】

(基本原則)

第一条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなけれ

ばならない。

3  権利の濫用は、これを許さない。




(同時履行の抗弁)

第五百三十三条  双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務

の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。

ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。



(賃貸借)

第六百一条  賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を

相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払

うことを約することによって、その効力を生ずる。



(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)

第六百十七条  当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各

当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合に

おいては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれ

ぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。

一  土地の賃貸借 一年

二  建物の賃貸借 三箇月

三  動産及び貸席の賃貸借 一日

2  収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次

の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。



(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)

第六百十八条  当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、

その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、

前条の規定を準用する。



(賃貸借の更新の推定等)

第六百十九条  賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用

又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議

を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をした

ものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百十七条の

規定により解約の申入れをすることができる。

2  従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、そ

の担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金については、

この限りでない。








*****************************


●●最高裁判所等の【判例】調査方法●●



最高裁判所等の判例検索方法


1.裁判所ホームページ 

    http://www.courts.go.jp/

    裁判所ホームページをクリックする。


2.ホームページ右上「裁判例情報」をクリックする。

「判例検索システム>検索条件指定画面」になる。


3.左側 「統合検索」の下の「最高裁判所判例集」をクリック

「最高裁判例 検索画面」になる。


4.その画面の「特定検索」は事件番号等がわかっているときに使

う。


5.わからないときは「詳細画面」を使う。

「民刑区分」の「民事」の箱にチェックを入れる。


6.そのあと、一番下の「全文」の検索窓を使う。

全文の最初の窓に検索語句「○○○○」を入力。

複合語句の場合は、その下に「and」の文字があるが、その下の

窓に「○○○○」を入力する。つまり両方の語句を含むけんさくで

す。


7.一番下の「検索」をクリックする。

何件か検出される。


8.検索された判例の左側の「最高裁判例」をクリック。

判例の内容が表示される。


9.判例の内容の一番下に「全文  PDF全文」という文字があ

る。「PDF全文」をクリックすると、「主文」「理由」のPDF
 
ファイルをダウンロードできる。


*****************************




(続く)


競売ドキュメント・不動産裁判 続きはこちら


   めちゃやさしい不動産の基礎知識のトップに戻る   競売ドキュメント・不動産裁判 ページトップ |LINK |