家賃滞納と契約解除の最高裁判例

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家賃滞納と契約解除の最高裁判例


最高裁判例(下記掲載)では

民法第1条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2項   権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わな

     ければならない。

3項   権利の濫用は、これを許さない。」


民法第1条 2項、3項に基づき判決しています。

また「・・・・・等判示の事情があるときは、右賃料不払を理由

とする賃貸借契約の解除は信義則に反し許されないものと解すべき

である。」としています。


家賃については、月額1200円×8か月=9600円

うち4800円は供託しているので

9600円−4800円=4800円

4800円−統制額超過部分=残額3000円

賃借人が屋根修理をしており29000円賃借人が負担している。

賃借人が負担している29000円を無視して計算してみると、

残額3000円÷月額1200円=2.5か月となる。

家賃を2か月半滞納していても、最高裁は賃貸借契約解除を、民法

第1条3項 職権乱用を適用して認めなかったことになります。



一般に、家賃不払いが3か月以上なら賃貸借契約解除は有効になる

といわれています。

この判例を根拠にして計算し、2か月半はだめ、3か月なら賃貸借

契約解除は有効になるとしているのだろうか。

そんな単純な計算ではないようだが、一応の根拠にしているようで

す。


つまり民法第1条 2項  権利の行使及び義務の履行は、信義に

従い誠実に行わなければならない、を前面に押し出しています。


賃貸借契約の解除が有効であるか無効であるかは、信義則によって、

当事者間の信頼関係が破綻したがどうかで判断されるということで

す。


賃料が1か月延滞したからといって、直ちに契約解除することは有

効ではないでしょう。


しかし、1か月遅れがずっと何年も続いたとしたら、信頼関係が破

綻していると解釈できるでしょう。


また賃料が何か月分か遅れることが再々あったとして、それを賃貸

人が黙認していた場合、裁判になれば、被告(賃借人)は、過去に

賃料の支払いを賃貸人が猶予していた事実があるとして抗弁し、原

告(賃貸人)が不利になることもあります。


●ここのところをしっかり覚えておきましょう。

賃料支払が遅れた場合は、賃貸人は、遠慮せず請求すべきです。

裁判になって抗弁されることを考えれば、黙認していなかったとい

う証明ができる方法・・・内容証明郵便等を出しておかなければ、

裁判で非常に不利になります。



【参考 最高裁判例 】

         最高裁判例  


事件番号      昭和37(オ)747

事件名        家屋明渡等請求

裁判年月日     昭和39年07月28日

法廷名        最高裁判所第三小法廷

裁判種別      判決

結果         棄却

判例集巻・号・頁  第18巻6号1220頁

原審裁判所名    大阪高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

判示事項     賃料不払を理由とする家屋賃貸借契約の解除 
         が信義則に反し許されないものとされた事例。


裁判要旨

家屋の賃貸借において、催告期間内に延滞賃料が弁済されなかつた

場合であつても、当該催告金額九六〇〇円のうち四八〇〇円はすで

に適法に弁済供託がされており、その残額は、統制額超過部分を除

けば、三〇〇〇円程度にすぎなかつたのみならず、賃借人は過去一

八年間にわたり当該家屋を賃借居住し、右催告に至るまで、右延滞

を除き、賃料を延滞したことがなく、その間、台風で右家屋が破損

した際に賃借人の修繕要求にもかかわらず賃貸人側で修繕をしなか

つたため、賃借人において二万九〇〇〇円を支出して屋根のふきか

えをしたが、右修繕費については本訴提起に至るまでその償還を求

めたことがなかつた等判示の事情があるときは、右賃料不払を理由

とする賃貸借契約の解除は信義則に反し許されないものと解すべき

である。

参照法条 民法1条3項,民法541条

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主    文
       本件上告を棄却する。

       上告費用は上告人の負担とする。
         
理    由

 上告代理人宮浦要の上告理由第一点について。

 所論は、原判決には被上告人Aに対する本件家屋明渡の請求を排

斥するにつき理由を付さない違法があるというが、原判決は、所論

請求に関する第一審判決の理由説示をそのまま引用しており、所論

は、結局、原判決を誤解した結果であるから、理由がない。


 同第二点について。

 所論は、相当の期間を定めて延滞賃料の催告をなし、その不履行

による賃貸借契約の解除を認めなかつた原判決違法と非難する。し

かし、原判決(及びその引用する第一審判決)は、上告人が被上告

人Aに対し所論延滞賃料につき昭和三四年九月二一日付同月二二日

到達の書面をもつて同年一月分から同年八月分まで月額一二〇〇円

合計九六〇〇円を同年九月二五日までに支払うべく、もし支払わな

いときは同日かぎり賃貸借契約を解除する旨の催告ならびに停止条

件付契約解除の意思表示をなしたこと、右催告当時同年一月分から

同年四月分までの賃料合計四八〇〇円はすでに適法に弁済供託がな

されており、延滞賃料は同年五月分から同年八月分までのみであつ

たこと、上告人は本訴提起前から賃料月額一五〇〇円の請求をなし、

また訴訟上も同額の請求をなしていたのに、その後訴訟進行中に突

如として月額一二〇〇円の割合による前記催告をなし、同被上告人

としても少なからず当惑したであろうこと、本件家屋の地代家賃統

制令による統制賃料額は月額七五〇円程度であり、従つて延滞賃料

額は合計三〇〇〇円程度にすぎなかつたこと、同被上告人は昭和一

六年三月上告人先代から本件家屋賃借以来これに居住しているもの

で、前記催告に至るまで前記延滞額を除いて賃料延滞の事実がなか

つたこと、昭和二五年の台風で本件家屋が破損した際同被上告人の

修繕要求にも拘らず上告人側で修繕をしなかつたので昭和二九年頃

二万九〇〇〇円を支出して屋根のふきかえをしたが、右修繕費につ

いて本訴が提起されるまで償還を求めなかつたこと、同被上告人は

右修繕費の償還を受けるまでは延滞賃料債務の支払を拒むことがで

き、従つて昭和三四年五月分から同年八月分までの延滞賃料を催告

期間内に支払わなくても解除の効果は生じないものと考えていたの

で、催告期間経過後の同年一一月九日に右延滞賃料弁済のためとし

て四八〇〇円の供託をしたことを確定したうえ、右催告に不当違法

の点があつたし、同被上告人が右催告につき延滞賃料の支払もしく

は前記修繕費償還請求権をもつてする相殺をなす等の措置をとらな

かつたことは遺憾であるが、右事情のもとでは法律的知識に乏しい

同被上告人が右措置に出なかつたことも一応無理からぬところであ

り、右事実関係に照らせば、同被上告人にはいまだ本件賃貸借の基

調である相互の信頼関係を破壊するに至る程度の不誠意があると断

定することはできないとして、上告人の本件解除権の行使を信義則

に反し許されないと判断しているのであつて、右判断は正当として

是認するに足りる。従つて、上告人の本件契約解除が有効になさ

れたことを前提とするその余の所論もまた、理由がない。


 同第三点について。

 所論は、被上告人B及び同Cの本件家屋改造工事は賃借家屋の利

用の程度をこえないものであり、保管義務に違反したというに至ら

ないとした原審の判断は違法であつて、民法一条二項三項に違反し、

ひいては憲法一二条二九条に違反するという。しかし、原審は、右

被上告人らの本件改造工事について、いずれも簡易粗製の仮設的工

作物を各賃借家屋の裏側にそれと接して付置したものに止まり、そ

の機械施設等は容易に撤去移動できるものであつて、右施設のため

に賃借家屋の構造が変更せられたとか右家屋自体の構造に変動を生

ずるとかこれに損傷を及ぼす結果を来たさずしては施設の撤去が不

可能という種類のものではないこと、及び同被上告人らが賃借以来

引き続き右家屋を各居住の用に供していることにはなんらの変化も

ないことを確定したうえ、右改造工事は賃借家屋の利用の限度をこ

えないものであり、賃借家屋の保管義務に違反したものというに至

らず、賃借人が賃借家屋の使用収益に関連して通常有する家屋周辺

の空地を使用しうべき従たる権利を濫用して本件家屋賃貸借の継続

を期待し得ないまでに貸主たる上告人との間の信頼関係が破壊され

たものともみられないから、上告人の本件契約解除は無効であると

判断しているのであつて、右判断は首肯でき、その間なんら民法一

条二項三項に違反するところはない。また、所論違憲の主張も、そ

の実質は右民違を主張するに帰するから、前記説示に照らしてその

理由のないことは明らかである。

所論は、すべて採るを得ない。

 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の

一致で、主文のとおり判決する。

     最高裁判所第三小法廷

        裁判長裁判官  田   中   二   郎

           裁判官  石   坂   修   一

           裁判官  横   田   正   俊

           裁判官  柏   原   語   六


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(参考)


【民法】

(基本原則)

第一条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなけれ

ばならない。

3  権利の濫用は、これを許さない。



(履行遅滞等による解除権)

第五百四十一条  当事者の一方がその債務を履行しない場合にお

いて、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間

内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

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*【判示】(はんじ)

判決文などの中で、事実の認定や法の解釈について裁判所の判断を

示すこと。


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